住まいのQ&A

Q1 上階の住人が大音量で音楽を聴いておりうるさくて困っています。どうすればいいですか。

上階の住人が大音量で音楽を聴いておりうるさくて困っています。どうすればいいですか。

夜遅くまで大きな音を出すのは周囲に迷惑を及ぼすため、まずは上階の方にその旨を申し入れる必要があります。しかし、相手方が上階の人なので言いにくいということであれば、管理会社や管理組合の役員から申し入れてもらう方法も考えられます。
専有部分(居室内)から発生される音が受忍の限度(我慢の限度)を超えるものであれば違法行為になる可能性も考えられます。受忍限度を超えているか否かについては、被害の種類・程度・影響・地域制・必要性等の様々な要素を総合的に判断するものとなります。また、騒音の及ぶ範囲により区分所有法第6条に定められている「共同の利益に反する行為」に当たる違法行為か、または当事者間で解決すべき違法行為かに分けられます。騒音が上下階や隣宅のみとなる特定の者だけに迷惑を及ぼす場合がありますが、これは当事者間で解決すべき問題といえます。発生した音が周辺の複数の者に迷惑を及ぼしており、平穏な生活を阻害する場合には共同の利益に反する行為になると考えられます。


Q2 管理規約で住居専用とされている場合、居室内で学習塾や事務所として利用することはできますか。

管理規約で住居専用とされている場合、居室内で学習塾や事務所として利用することはできますか。

専有部分(居室内)はその所有者が自由に使用する権利がありますが、事務所や塾を開くことにより周りに迷惑をかける場合には、共同の利益を損なう行為と言わざるを得ません。
標準管理規約第12条のコメントでは「住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるための平穏さを有することを要する」と説明しています。
よって、その事務所や塾の規模・人数・時間帯等や出入りに際しての話し声や行動等に迷惑行為がないかどうかを総合的に判断し、受忍限度を超えている場合には、共同の利益に反する行為に該当するということになります。


Q3 ペット飼育禁止となっていますが、ペットを飼っている方がいます。どのような対応をすれば良いですか。

ペット飼育禁止となっていますが、ペットを飼っている方がいます。どのような対応をすれば良いですか。

管理組合としてはルール順守の観点から、ペット飼育が禁止されていることについて、その居住者の理解を得るよう努めなければなりません。広報等によりペット飼育が禁止されていることを繰り返し周知し、その居住者に対しても共同の利益に反する行為出るという事を理解させる必要があります。
その他、区分所有法で定めらおります、義務違反者に対する措置として、その行為の予防のための必要な措置の請求や、訴えをもって専有部分の使用の禁止を請求することも出来るとされています。
ただし、訴訟等の法的手続きを遂行することも考えられますが、その場合は総会での決議が必要となります。


Q4 敷地内で駐車区画外の駐車があります。どのような対策がありますか。

敷地内で駐車区画外の駐車があります。どのような対策がありますか。

違反駐車は管理組合が抱える大きな悩みの一つでもあります。対策については次の方法が考えられます。

① 違反駐車を行わないよう広報等により理解を求める。
② 規制看板や注意看板の設置を行う。
③ 車両進入防止策やフラワーポット等の障害物を設置する。
④ 役員や居住者により夜間・休日の見回り活動を行う。
⑤ 違反駐車があった場合にはワイパーに警告書を挟んで注意喚起する。
⑥ 駐車場が不足する場合は増設や敷地外契約を検討する。

違反車両は緊急車両の妨げになることや、ゴミ回収や普段の車両の出入りに支障が出ることがあります。
解決のための絶対的な決め手はありませんが、管理組合が日ごろから広報等で違反駐車について呼びかけを行い、居住者とのコミュニケーションや連携を密にとり地道に取り組むことが大切です。


Q5 マンションの駐車場が足りません。駐車場の増設はどのようにすれば良いですか。

マンションの駐車場が足りません。駐車場の増設はどのようにすれば良いですか。

駐車場増設はいかに合意形成できるかにかかっています。進める手順は次の通りです。

① 理事会で増設について検討し方針を決定する。
② 駐車場専門委員会を設置しアンケート等により実態調査や要望等を把握する。
③ 法律的に増設が可能化の確認をおこなう。また財源も含めて具体的な計画案を作成する。
④ 安全面・環境面において、専有部分の使用に関して特別な影響を及ぼさないか確認する。
⑤ 専門委員会の検討状況は広報等で広く情報公開をし合意形成の土壌作りを行う。
⑥ 専門委員会で作成された素案を理事会で審議する。
⑦ 居住者に対する説明会を開催する。
⑧ 総会に上程し決議を行う。


Q6 管理費等の滞納に困っています。どのような方法がありますか。

管理費等の滞納に困っています。どのような方法がありますか。

督促の方法としては、電話・訪問・書面による督促があります。
管理費等は管理組合によって居有財産を維持管理するための貴重な財源であり、滞納は組合運営の根幹にかかわる問題といえます。
一般的な督促の順序は以下のようなものとなります。

①督促状の送付を行う。
②電話にて支払いの確約をいただく。
③訪問し面談の上で督促を行う。また、その際に督促の原因を的確に把握することも大切です。
④それでも支払いがない場合は法的措置の準備を行います。少額訴訟や支払督促、民事調停といった手続きがありますが、ケースによっては通常訴訟によらなければならないことがありますので、その際には弁護士や司法書士に相談の上対応を検討された方が良いでしょう。

管理会社に委託している場合でも、その最終的な回収責任は管理組合にありますので注意が必要です。


Q7 管理費等の滞納の消滅時効は何年ですか。

管理費等の滞納の消滅時効は何年ですか。

滞納管理費等に対する支払請求権は、平成16年4月23日の最高裁判決において、各債権発生時点から起算して5年の時効が認定されました。(5年の定期給付債権)5年を超えた時点で時効が成立し、滞納管理費等に対する請求権が消滅して債権回収が不可能になってしまいますので、管理組合としては十分注意する必要があります。
時効の進行を止めるものとして、時効の中断というものがあります、そのうち請求が重要な手段となるでしょう。
時効の中断には、「請求」「差押・仮差押・仮処分」「承認」というものがあります。(民法147条)特に管理組合にとって重要なのが「請求」となります。この場合注意しなければならないのは、内容証明郵便によるものは法律上「催告」であって、あくまでも6か月間の暫定的な時効中断にすぎません。したがって、その後滞納者からの支払いがなければ訴訟の提起等さらなる請求の手続きを進めていく必要があります。


Q8 大規模修繕工事を進めるにはどのような手順で進めればいいのですか。

大規模修繕工事を進めるにはどのような手順で進めればいいのですか。

大規模修繕工事を実施するには、工事の内容・施工業者の選定・資金調達等様々なことを検討する必要があります。これらを検討し組合員の合意を得ていくには、理事会の諮問機関として専門委員会の設置を行う事が適切だと考えられます。
専門委員会においては、大規模修繕工事の必要性・実施すべき工事の内容・実施時期・工事の金額とその資金計画・施工会社の選定などについて検討し、素案にまとめて理事会に答申します。
これを理事会で協議の上理事会案として総会での決議を得たのちに施工会社と契約を行い、工事に着手するのが一般的な流れです。大規模修繕工事の時期は長期修繕計画に定められた時期に行う事が目安となりますが、事前に劣化状況を把握するために建物診断等により劣化状況を考慮したうえで工事時期を決定することが望ましいと言えます。